なぜ、人の言葉にムカつくのか?傷つくのか?



一つの言葉には何層もの受け取り方があります。相手はそのつもりが無くても、自己嫌悪してるポイントにその言葉が振れると傷つき、その傷の防衛のためにムカッとするのです。
逆に言えば、自己嫌悪がなければ傷つくこともムカつくこともないのです。

誰かに言われた一言でムカッときたとします。

でも、実はこの「ムカッ」と言うのは「防衛」です。
その前に「イタッ」て言うのが隠れています。

その痛みから心を守るためのムカッなんです。

そして、その一言でなぜ傷つくのか?というと、、、、あなたの中に「同意」があるからです。

認めたくないけれど・・・ね。


例えば、「そんなことも分からないの?」って言われてムカッと来たとしましょう。
何かバカにされたような気がしてしまいますよね。

でも、その背景にある心理は・・・、

まず、「分からない」ということはいけないことだと思っていませんか?
「分からない」ということは、恥ずかしいこと、ダメなこと、無力なこと、能力が無いこと・・・。

だから、「分からなければいけないものなのに私は分からなかった」という思いが先にあり、そのことを指摘されたので傷つき、その傷を防衛するためにムカッと来るのです。

「バカにしないでよ」
「すいませんねえ、バカですから」
「頭悪いですからわかんないんです~」

そんな反応をしてしまうかもしれません。

でも、その「分からないの?」というのが「大学レベルの微分積分の定理について」だとしたら、あなたは同じ反応をするでしょうか?

「ええ~?そりゃあ、分からないよ。何それ?」って思って傷つかないと思いません?
「はあ?何言うてるの?分かるわけないじゃないの~!」って思えるかもしれません。

自分に関係ないもの、自分とは縁のないものと思っていたとしたら、私たちは傷つかないので、ムカッと来ないんです。

でも、あなたが理系で、大学で数学的なことを学んでいた人間だとしたら(すなわち、私ですが(笑))、「分からない」ということは、いけないこと、恥ずかしいこと、情けないことだと感じて傷つき、ムカッと来てしまうでしょう。

ところが、言葉は複雑ですね。それだけでは済まないのです。

「分からないの?」ということが大学の数学の話だとしても、その言い方が「すごく私をバカにしたような言い方」だとしたら、内容ではなく、その言い方に傷つき、ムカッとくるでしょう。

でも、その背景にある心理は、自分で自分のことをバカにしていたり、ダメ出しをしていたり、ちっぽけに扱っていたとしたら、その自己否定しているところに、その言葉が刺さり、傷ついてしまうのです。

でも、この感情は多くの人が持っているのでバカにされるとみんなムカつきますよね。

ここでは、本当に自己肯定感が強い人だけ、バカにされても傷つきません。
「へえ、そうなの?」って穏やかに聞けます。ま、それはほとんど「悟り」の世界かもしれません(^^)

だから、大学の理系出身で、その数学の定理を理解していなければならないと思っている上に、そもそも自己評価が低い人がその言葉を聞いたら、二重に傷ついてしまうわけです。

更にさらに、それを言ってる人が、あなたが元々好意的な印象を持っていない人だとしたら?
さらにムカつきますよね。

嫌いな人というのは先日も書きましたが、自己嫌悪の投影を引き受けてくれる人
その人が悪いんじゃなくて、その人の中に見る自分の要素が嫌いなんですね。

だから、その人と接するだけであなたは自己嫌悪がひしひしと刺激されるんですね。
それでそんな人とはいっしょにいたくないわけです。

だから、あなたが理系出身で、その定理を理解していなければいけないと思っていて、かつ、自己評価が低く、その発言者のことを嫌ってたとしたら、三重に傷ついてしまうので、ムカつき度は相当レベルに達しますね。

一つの言葉なのに、何重もの意味があって(解釈できて)、そのどれかが心の痛みに触れたとしたら傷ついてムカッとしてしまうのです。

そして、自己否定が強い(たくさんある)人ほど、誰かの言葉に反応しやすいんですね。

「分からなくっていいじゃん」
「そんな言い方するってことは、しんどいのかなあ?」
「意外といい奴かもよ」

そんな風に思えたら全然ムカつかないわけです。

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