この人の○○は信頼できるけど、△△は信頼できない、という話。



ある奥さんがこんな話をしてくれました。
長い間続けた仕事を辞めて新しい仕事に転職すると言い出し、実際辞めちゃったそうです。「次どうするの?収入は?」とふつうなら不安になりそうなのに、彼女は全然心配にならないらしいのです。
特に自分が収入があるわけじゃないのですが。
でも、一方で、夫婦としてはどうかって言うと、全然うまく行ってる感じがしない、信頼し切れない感じがして、見捨てられるような不安がまだある、とのこと。

つまり「仕事する夫」に対しては信頼があるんだけど、「男としての夫」には信頼が持てないんですね。それだけの過去があったからですけれど。


人ひとりを100%信頼するってなかなか難しいことかもしれません。
「中身に関しては信頼できるけど、その人間性についてはあまり信頼できない」
などと芸術家は評価されたりします。

ビジネスでなら、まだ分かるけど、夫婦でそれってやっぱり複雑ですよね。
本当は100%信頼してあげたいところ。

その奥さんも本当は信頼したいけど、できてない、というところが悩みになったりするのです。

そこで“まずは出来てるところを評価してあげましょう”と思うんです。

夫が仕事を辞めるって言い出して「じゃあ、生活どうなるの?収入は?今の生活は維持できるの?」って感じる奥様も多いと思うんです。
でも、そこに信頼があると「何とかなるんじゃないの?この人、何とかするでしょう?」って思える。
そして、信頼されてるご主人からすれば、安心して、じっくりと次の仕事を見極められます。
そういうときってうまく行くんです。
実際、そのご主人も2社目であっさり採用が決まったそうです。

そう、信頼がある分野では物事は驚くほどにスムーズに行きます。
不安や怖れがある分野では、当然のように物事を滞らせます。
そりゃそうですよね。怖い道を歩く時は誰だって「そろりそろり」、信頼してる道を歩く時は「堂々と」ですから。
ということは不安や怖れを乗り越えて、堂々と歩くことができれば物事はスムーズに行くんです。

でも、人は“できてるところは横に置いといて、できてないところを心配する”癖があります。
完璧主義も影響しているのだろうと思いますが。

だから、私は彼女に「この年での転職に堂々としてる嫁を持つご主人は幸せですよね」という趣旨のことをお伝えしました。
そして、「そういうことが出来てる自分をもっと褒めてあげてね。それって素敵な嫁ってことですよ」って付け加えました。

そうして「そっか。私にも嫁としていいところがあるんだ」などと自己承認ができるとだんだん自分のことも信頼できるようになっていきます。
自分を信頼、すなわち、自信です。

そして、実際、夫を信頼している分野があるのですから、夫婦関係についてもいずれ信頼できる可能性は高いわけです。
0から1にする話じゃないですから。

だから、すでにできてること(すなわち、すでに0ではなく、1以上であること)を認めてあげれば、でんと構えられるようになっていくんです。

今、できてるところを承認する。
今、ある信頼を再確認する。

そんなところから自信を付けることができますね。

毎日使える心理学講座


あわせて読みたい