なぜ、同じタイプの人を好きになるのか?なぜ、そのルーツは母親なのか?



先日、こんなカウンセリングがありました。
ある男性が、女性の上司との関係で悩んでいるとのこと。性格も合わず、また、モラハラ・パワハラ的発言も多く、とても参ってしまっている状態でした。
お話を伺うと不思議な因果が見えて来ました。

「前の奥さんと今の上司ってキャラ、かぶりませんか?」

びっくりして、そして、その後、苦笑いされてました。
そして、よくよく見て行けば

「さらに、うちの母親もそんなタイプですし、今付き合っている彼女も似たタイプと言えば似てます」

とのこと!!

彼が出会う女性はみんな、そんな気が強く、我が道を行く、パワフルで、時に傲慢で、相手をコントロールするタイプ。


でも、なんでそんな女性が好きなの?

という話になりますよね。
優しい女性もいっぱいいますし、イケメンである彼ならば誘いだって少なくないはずなのに。

「興味が湧かない」

ということだろうと思います。

男だからって女性全員を女性として見ているわけではありません。(女性はその逆ね)
女性の中でも女性として感じられる人とそうでない人に分かれます。
それは理屈ではなくて感覚的なモノ。

みんなが「きれい、色っぽい」と言ってる女性に「確かにきれいだけど女って感じじゃないなあ」と思うこともあるのです。

大抵、その原型となるのが「お母さん」(女性ならばお父さん)。

うちのお母さん、女っ気なんてないわ!と思うのは当然。
思春期以降はそんなところに蓋をしますからね。

でも、小さいお子さん、甥っ子をお持ちの方なら分かりませんか?
どれくらい男の子がママっ子か。(ここは男女で少し違いが出てくるところです。)

ママ大好き~!ですよね。うちの息子も漏れなくそうです。

さて、そんなママ大好き~なので、すべてはママが基本となります。
そのママにディープに愛されたとすれば、そこで幸せを感じていたので、異性からもそんな愛を求めますし、そんな風に愛を贈ります。
一方、そんなママに冷たくされたり、距離を置かれたりしたら、すごく寂しいので、その飢えた感覚がずっと残ります。

そして、恋愛のルールに則って「母からもらえなかったものを彼女からもらおうとし、しかし、手に入らないという経験を繰り返す」ことになるのです。

お母さんと似たタイプの人を彼女にしたり、そういう上司の元で仕事したりして、認められ、褒められ、甘えられることにより、母親からの愛情を補足しようとするんです。
そのために「同じタイプの女性」(あるいは母親を反面教師として全く反対のタイプの女性)を選ぶのです。

しかし、そのミッションはたいてい失敗します。
いや、失敗しなければいけないんです。
もし、うまく行ったら、母親を否定しなければいけないでしょう?
あくまで彼女も上司も母親の代理人ですから、愛されてしまっては困るのです。
愛されなかった時に「やっぱりそうだ。母親は正しい。間違っていない。」という経験をするのです。

それくらい母親への愛は深いのです。(女性は父親ね)

ある層では「もらえなかった、愛されなかった」という感情なんですが、でも、その奥にはさらに別の層の感情があります。

それは「助けられなかった。愛せなかった。守れなかった。」というもの。

気が強く、前向きで、常に戦っているような、そんな強い母親ですが、実のところ、弱さを隠すために強がり、不安に囚われないように明るく前を向き、周りに敵が多いので常に戦わなければいけない、寂しい、孤独な姿が見えています。

だから、息子としてお母さんの元に生まれてきた彼はそんなお母さんを助けたい、守りたい、という気持ちを強く持つのです。

でも、そんなお母さんは息子の助けなど受け取りません。
だから、彼はそこで失敗感、無力感、罪悪感などをてんこ盛りで持つことになります。
そして、その後、パートナーや上司にも同じような傷ついた女性を選び、彼女たちを助けることで、その無力感を癒そうとするのです。
しかし、助けられない・・・というのは先ほどと同じこと。

しかし、「愛されなかった」よりも「愛せなかった」方がはるかに傷は深いです。

だから、一見彼の中には「母から愛情がもらえなかった」と言う感情が占めますが、実のところ、「母を十分愛せなかった」という思いの方が影響が大きいのです。

それゆえ、本当に注目すべきはその罪悪感、無力感を癒すこと。

すなわち「あなたは十分頑張った。できることをお母さんにしてあげた。そんな息子を持ってお母さんは幸せなんだ。」という思いを受け取ることが最大のヒーリングとなります。

インナーチャイルドセラピーをよく用いますが、お母さんからの愛情を受け取る段階ではまだ不十分で、その先に、お母さんを癒す、というところまで達成して、ようやくプロセスは完了するのです。

「私は本当に母親の役に立てたのでしょうか?」

涙ながらに訴えるその声に「ええ、十分やりましたよ。本当に素晴らしいことをされました。できることはすべてやって来られました。」という承認が癒しを作るのです。

そして、その承認を受け取れた彼にこんな宿題を出しました。

「お母さんにしてもらいたかった『頭を撫でてもらう』というのを、今日、彼女に会ったら何も言わずにやってもらってください。」

そこで彼女を通じて、お母さんの優しさや愛情を受け取ることで、寂しがってた心の中の子供はきっと喜んでくれるでしょう。

そして、同時に彼女のためにしてあげてること、頑張ってることを、自分なりに認めてあげること、彼女を助けたい、救いたいと思っていることに意識を向けることで、彼は自信を快復していくのです。

今日は少し実践的な話をさせて頂きました。
(内容は少し事実と変えております。)

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