問題は一つの事象に過ぎません。それにどう反応するか?すべては自分自身の問題なのです。



結局は自分自身なんだなあ、と思うんです。
相手がどうのこうの、ではなく。

「夫の浮気」という問題があったとします。

それを知った時、奥さんは目の前が真っ暗になり、ショックで震えてきて、どうしていいのか分からずに不安になり、そして、悲しみや寂しさがわーっと襲ってくる・・・。
情緒不安定になったり、夜が眠れなかったり、ご飯が喉を通らなかったり。

ご主人を信じていたり、これからも二人でやっていくつもりだったり、愛情があったり、家族と思っていたり、そういう風にご主人を感じていたとき、きっとそんな反応になるでしょう。


でも、もし、奥さんが離婚を考えていて、でも、なかなかその理由が見つからなくて・・・という時に浮気が分かったら?
「ラッキー!めっちゃラッキー!慰謝料も取れるし、ツイてる!!」って思うでしょう。

また、実は密かに自分も彼を作っていた・・・それが家族に後ろめたかった・・・という場合は・・・?
「良かった。褒められたことじゃないけど私だけじゃないって思ってホッとした」のかもしれません。

あるいは「旦那元気で留守がいい!」と全く夫に興味を失っていた奥さんだったら?
「まあ、お若いこと。あたしゃ、こっちに被害が及ばなきゃ全然かまわないけどね。」と動じないでしょう。

つまり、自分の状態によって反応は全然変わる、ということです。

ま、当たり前ですよね?

この4人の奥さんの中で、夫の浮気問題で動揺しているのは一人だけということになります。
もちろん、私がお会いするのは圧倒的にこのタイプの方です。
「何とかしたい」という方しかカウンセリングは使わないですから。
(その次が3番目の奥さんかな。)

動揺するのがおかしいとか悪い、というお話ではありません。

何が言いたいのか、というと「結局は自分の問題」なんだな、ということなのです。

「夫の浮気」というのは、いいとか悪いとかは別として「一つの事象」なんです。
「雨が降った」「電車が止まった」「友達が約束をドタキャンした」「注文したパスタがなかなか来ない」「重たい病気になった」「大切な人が亡くなった」などと同様に「自分の人生に起こる一つの出来事」なのです。

それにどう反応するか?というのは「自分自身の心の状態」によって変わるんです。

つまり、その「夫の浮気」によってさまざまな感情は揺さぶられるけれど、でも、自分自身の心の持ちよう一つで捉え方を変えることができるのです。

例えば、「電車がなかなか来ない」という事象に対して「イライラする」というのは、心に余裕がなかったり、きちんとした性格だから起こる反応です。
でも、みなさん、そこで「イライラしててもしゃあないな。本でも読むか」とか「来ないなら来ないでソバでも食おう」とか「友達にまだメールの返事書いとこ!」など、何かしら対処しますよね。
それでちょうど友達へのメールが書き終わった時に電車が来たとしたら「むしろ、遅れてくれてラッキー」とか思えることってありますよね?

「電車がなかなか来ない」ということがその時点では悪いことではなく、いいことに変わります。

電車の遅延と夫の浮気を同じように扱うな!とお怒りになるかもしれませんが、でも、自分の捉え方一つで変わる、ということについては同意いただけるでしょうか?

夫の浮気が初めてであれば、どのように対処していいのか分からなかったり、これからの生活に不安だったり、女として全否定されたり、見捨てられ、裏切られたような痛みが出てきて絶望したり、涙が止まらなかったり。

そうした感情はできるだけ感じてあげましょう。
そして、解放してあげましょう。
だから、思い切り泣くこともすごく大事なことです。

ただ、そこで気付いてください。
夫の浮気が本当の問題ではない、ということ。
それに対する自分の反応こそが、一番の問題である、ということ。
夫の浮気は一つの事象であって、自分自身はそれに反応しているだけ、ということ。

すなわち、「自分を変えればいい」ということ。

それは出来るんです。

そして、同時にそれだけ動揺を受けるほどの出来事を必要としている自分がいるとしたら、それだけ今、変わることができる時期です。
もういい加減変わりたい自分がいるんです。

変わるために、それだけ大きな出来事を引き寄せている、と言ってもいいのです。

だから、最近のカウンセリングでは、こんな大胆なことを言ってます。

「この問題、ご主人は一切関係ないと思っていただいてOKです。自分自身の問題があるのみです。」

えっ!?と思いますよね。

旦那さんの問題だと思えば、彼が変わらなければ、何ともなりません。
実際、そう思っている奥さんは多いと思います。

でも、旦那さんの問題だとしてしまったら、自分は何もできず、親鳥の帰りを待つ雛鳥みたいに巣でじっとしてることしかできません。
主体的に行動できないのです。

これでは彼が変わるまで状況が変わらないことになります。

不安になって絶望しているのは「自分自身」なのです。
その自分自身をケアしてあげること、そう感じる理由を見つめて行くこと、その作業は自分自身にしかできません。

そして、自分の感じ方、捉え方を変えることで、「夫の浮気」と言う事象に前向きに対処していくことが可能になっていくのです。

「自分のことだけ考えましょう。自分が笑顔になれること、自分が好きなこと、自分がホッとできること。そういう場所に行きましょう。そういう人に会いに行きましょう。夫のことは横においといて、自分のことだけに目を向けましょう。」

そうして自分自身を取り戻すと、自分のために行動できます。
「夫の浮気が分かるまで、こんなに自分が彼のことを愛していると気付けなかった」
「夫に冷たくしていることに気付いた。もっと優しくしてあげたいと思った」
「自分がある意味女を捨ててることに気付いた。もっと女を楽しもうと思った」
「人を愛することの意味を学んだ。それはむしろ感謝したい」
「ずっと自分を否定してきたけど、自分のことをもっと愛したいと思えた」
「彼の弱さ、寂しさを知ったことは大きい。もっと完璧な人だと勝手に思ってた」
そんな気付きが多く訪れます。

そして、それだけ大きな問題ですから、それだけ大きな人生の転機になります。

「むかしの自分より、今の自分の方が好き」と言えるようになっていきます。

不安、怖れ、絶望が強いとき、とても大きな依存心が生まれます。
夫への依存が今まで以上に強まります。
でも、そうしているうちは問題はあまり改善しません。仮に彼が浮気を辞めたとしても、またするんじゃないか?という不安から逃れることはできません。

だから、その依存をまずは切り離す(自立すること)が第一歩目だと思うんです。

それでちょっとそんな大胆な、過激なお話をすることにしています。

自分、を取り戻せば、主体的に行動できますし、夫の行動に振り回されることが減っていきます。

そうして、これだけ大きな問題を引き起こした理由を知り、そのギフトを受け取ることで、やがて、この事象に感謝すらできるようになっていきます。

「相手に関わらず、自分自身の問題」という風に自覚できることがとても大切なのです。

こうしたお話は夫婦の問題だけでなく、たとえば重たい病気になったり、家族の死と向き合うことになった場合、仕事上のトラブルなどに関しても同じ見方をしていきます。

事象に捉われず、自分自身を見つめ、自分を変えていくこと。
これが最も大切なことだと思うのです。

ちょっと理屈ぽい話をしました。
参考になりましたら幸いです。

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