今できることって何?



先日、同じ日に違う場所で同じ話を聴きました。「お、マイブーム到来!?」と思って早速ネタにしようと思った次第です(笑)

「今できることしかできない」ってこのブログでもよく書いていました。
私たちは「今」にしか生きられず、まだ来ぬ未来にどれだけ思いを馳せようが、過ぎ去った過去に意識を向けようが、存在するのは「今」だけです。

私たちが怖れや不安を感じるとき、注意深くその中身を見てください。
「今」ではなく、「未来」に意識を向けていませんか?
そして、その不安を引き起こす原因を「過去」に見出していませんか?

かく言う私もよくやってしまいます。


この間、神戸に用事があって車を走らせてました。
実はこのところ神戸に向かう阪神高速が結構混むことが多く、予定の時間に遅刻したことが2、3回続いていたんですね。(←過去を見ている)
だから、今日も遅れたらどうしようと思っていたんです。(←未来を見ている)
相手はそれほど迷惑がらないだろうけれど、自分の気分が嫌だよな。(←未来を見ている)
前は20分も遅れてすごく嫌な気分になったしなあ。(←過去を見ている)
だから、なるべく確実に早く行けるルートを考えながら運転してました。(←未来を見ている)
道路交通情報を聴くと、阪神高速はやはり渋滞が少々あるようです。(←これは今)
やっぱりあそこは混むんよなあ。(←過去を見ている)このまま渋滞が伸びたらどうしよう。(←未来を見ている)こないだみたいに悔しい思いをするのかなあ。(←過去を見ている)早く行ける抜け道みたいなのはないんかな?下道(したみち)はやっぱり混んでるやろな~(←未来を見ている)

そんなことをぐるぐる考えながらハンドルを握ってるわけです。
この“妄想”の間、私はほとんどここ(今いる場所)にいません。

大阪の一般道を走っているのに、心は過去の記憶を探り当てたり、まだ走っていない阪神高速に意識を向けていたり。

過去も未来も自分にはどうすることもできないのに。

渋滞にハマるかどうかなんて分からないのに、気持ちはすでにハマった気分。
しかも、過去の記憶に基づいて、予定時刻を2,30分オーバーして到着して、嫌な気分になるシミュレーションまでばっちりしています。
しかも、道路交通情報のお姉さんの声を聞いたのは「今できること」なんだけど、それを元にまた未来に意識を飛ばしてシミュレーションしてしまってました。

このストーリーに気付くまでの時間はおおよそ10分くらいでしょうか。
その間、私は未来と過去とを行き来していて、不安を自作自演していて、ほとんどここにいませんでした。

カウンセリングで寄せられるご相談もそんな「過去に基づいた未来の不安」であることが少なくありません。

もちろん、そういうことは皆さん分かっていらして「そんな未来のことを考えて不安になっていても意味はないんですけど・・・」とおっしゃいます。

でも、やっぱり「前に遅刻した」経験があったら、「まだ遅刻する」という不安を抱きますよね。

もちろん、過去の失敗が痛みとして残っていて未来の不安になるにはちゃんとした理由があります。
それは過ちを繰り返さないこと、成長すること。
前回10時に出て遅刻したんなら、今回は9時半に家を出よう、という学習のためですよね。

だから、それ自体は悪いんじゃないのだけど、過去の自分を許せていないと未来へは不安しか感じられなくなるのです。

「今できることって何でしょう?」

カウンセリングでもそう問いかけますし、また、実際そんな提案をしていきます。

「ご主人に感謝の手紙を書いてみてください。」
「今日から家に花を一輪飾りましょう。」
「まずは会社に行ったら『おはようございます』と笑顔で言ってみましょう」
「自分が好きなことを100個探してみましょう」
「パートナーに求める要素を100個探してみましょう」
「行きたい場所の写真を壁に貼ってみてはどうでしょうか」
「年末の旅行の計画を立てましょう」
「とりあえず目の前の書類に名前を書くことから始めてみませんか」

「過去の自分を責めるのも、まだ来ぬ未来を憂うのも仕方ないことだけど、意味のないこと。だから、今できることを探してやろう!」

やはりこの意識を持つことが大切だと思います。
今できることしかできないから、今できることしよう、というわけです。

「今、何をすればいいのか分からないんです」

これはOKです。「今」にちゃんと生きています。
とすれば「何をすればいいのかを探す」とか「何をすればいいのかを人に聞く」ことができますよね。

でも、何でもいいみたいです。その問題に直結しなくても。

だから、何していいか分からない時はこうするといいよってアドバイスします。

「深呼吸する」
「空を見上げる」
「ニッと笑ってみる」
「時計を見て、時刻を声に出して言う」
「今見えるものを指さし確認する」
「木に触る」
「両足を床に着ける」
「匂いを嗅ぐ」等々。

そうすることで意識が「今」に戻ってくれば心は勝手に落ち着くのです。

その上で、今の問題(不安を作る素)に向き合いましょう。
何ができるんだろう?って。

「ま、遅刻したらしたでしゃあないな。とりあえず今は運転に集中して、いつものアレでもやっておこう。」とニッと笑顔を作って最近お気に入りのアファメーションを繰り返すことにしました。

今できることをしよう、と腹を括れば遅刻も怖くなくなります。
「ま、しゃあないな。それが必要だったんだろうな。」と。
そしたら結果的には予定時刻ぴったりに到着し、ことなきを得たのでした。

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