[6/14]新たな一歩と夫の変化、そして、許しのプロセス。



カウンセリングの実際「浮気と離婚の危機とセックスレスの向こう側にあったギフト」

[6/14]新たな一歩と夫の変化、そして、許しのプロセス。

そんな中、経済的にも精神的にもご主人に頼りきりだったことを反省した友美恵さんは、自分を成長させる目的も兼ねて、パートの仕事を始めました。

「仕事中は夫のことを忘れて集中できるので、とてもいい気分転換になりますね」
とのこと。実際、主婦として家で一日中過ごしていると、どうしてもご主人のことばかり考えてしまうものです。

さらに、その仕事は彼女にとっては経験のある、好きな分野の仕事だったので、さっそくそれを買われてリーダー的な役割を負うことになったんです。

人って不思議なもので、普段だったら「リーダー」という役割には強い抵抗を示す友美恵さんも、好きな仕事だったら、案外喜んで引き受けられるものなんですよね。

「やっぱり好きなことしないとダメですよね」

と、お話しされてました。


仕事を始められてから1、2ヶ月も経たないうちに表情にも、心にも余裕が生まれてきていたのです。
ちょっと前ならば考えられなかったのですが、笑顔も自然に出てくるようになり、苦しい気持ちに襲われることもありつつ、でも、毎日を楽しむことも少しずつできるようになってきました。

そうすると不思議なことに離婚を考え、別居まで言い出していたご主人の態度が変わり始めたんです。
どうも浮気相手と別れようとしている様子が伝わってきます。
「まだ、安心はできないんですけど・・・」と前置きしながらも、ちょっとホッとした表情で話される友美恵さん。
もちろん、浮気相手と別れる=私のところに戻ってくる、わけではありませんから、油断はできませんが、でも、一歩前進したことは間違いないようです。

こうした浮気のプロセスの中では、今まで依存側の立場にいた奥様が、仕事を機に徐々に自立側のポジションに移行していく様子によくお目にかかります。
どんどん自分を取り戻し、明るく、元気になっていくんです。
もちろん、具体的に問題が解決したわけではないので何か不思議な感じがするかもしれません。
でも、腹を括れた分だけ、力強さと希望、そして「何とかなるんじゃないか」という漠然とした自信を感じることができるんですね。

だから、特に専業主婦だった方には、ある程度自分を取り戻し、ご主人への執着が薄れ、心にも余裕が出てきた頃に「そろそろパートとか始めるのもいいですよ」と提案することもあるんです。

でも、その際に注意したいのは「好きな仕事」じゃなきゃ意味がないということ。
経済的に苦しいから、とか、もし離婚になったことを考えて、などの理由で仕事を選ぶと今度は夫のことに加えて新たなストレスがかかり易くなります。

ただでさえ浮気されて心身ともにしんどい時期に、あえて辛い仕事を選ぶ必要はないんです。
むしろ、ほんとうに好きな仕事、やりたい仕事じゃないとできないし、続けられないですよね?

(とはいえ、なかなか好きな仕事を見つけたり、それに就いたりするのが大変な場合も少なくありません。そういう場合は、まずはあまり心身に負担のかからない単純な仕事をお勧めします)

また、専業主婦ではなく、仕事を持たれている方には、仕事をより充実させることを提案していきます。
「今の仕事は好き?楽しめてる?」という点や、あまりに辛ければ一旦仕事を休むことも含めて仕事と家庭とのバランスを取っていきます。

仕事を始めたり、今の仕事をより頑張ろうとしたりすると、一人だったらボーっと一日中でも考えてしまう思考が一旦休まります。
そうすると、ご主人のことで思い悩む時間が軽減されるんですね。これは心にとってはとても大きなこと。

そしてもう一つ大切な目的がありまして、こういう状態で仕事を選ぶと、ほんとうに自分がしたいことが同時に見えやすくなるんです。
興味のあるもの、好きなこと、時にはライフワークにしてもいい仕事が、こういう状況でめぐり合えたりするんです。

例えば、友美恵さん以外にも、「どうせ仕事するなら好きな花に携わりたい」と花屋さんでアルバイトを始められた方もいますし、「人を癒す仕事がしたい」とマッサージを勉強し始めた奥さんもいます。
また、「やっぱり人の役に立つ仕事がいい」としばらく休んでいた、看護師の仕事に復帰された方もいらっしゃいます。

そのとき、夫婦の問題で悩む一方で、自分にとっての“天職”を見つけることにもなるんですね。

私も経験がありますが、心理学には“真実のパートナーと天職(ライフワーク)は同時にやってくる”という格言があります。

友美恵さんのようなプロセスに立ち合わせていただくと、その格言はやはり真実なんだな・・・と思わされるのです。

さて、一方その頃、ご主人はその彼女と別れ切れず、時々会っている様子です。
彼としては、なるべく後腐れなく、きれいに別れたい、そういう思いが強いのかもしれません。

でも、その様子を見てる友美恵さんの方が何故かご主人に同情し、かわいそうに見えてしまうこともありました。
別れようと思うのに、なかなかうまくいかない葛藤が、なんとなく見て取れてしまうのです。

「おめでたいんですかね、私」という友美恵さん。
でも、大丈夫。
そのくらいの方がうまく行くんです。

「おバカになりましょう・・・」って良く提案するんです。
「おめでたいとか、おバカとか、そうならないとなかなか許しも受容もできませんよね・・・」って。

コミットメントの次の段階は、実はその難しい“おバカ道”のステップなんです。
おバカになる・・・プライドも邪魔だからいらない、意地も窮屈だから捨てるんです。
プライドや意地よりも「愛」を選ぶんです。
この態度は本当に私達を成熟した自由な大人へと成長させてくれるのです。

そうして心が身軽になると、どんな状況にも対応でき、フットワークが軽くなります。
臨機応変になり、また、自由になり、そして、何よりも笑顔が戻ってくるのです。

さて、友美恵さんの優しさというか慈悲深さ(女性性の才能の一つですね)か、この頃には、そんな風にご主人を見ることができるようになっていたんですね。
つまり、いつしか、心の中に余裕が芽生え、女性としての自信も根を張り出したようです。

浮気されて傷ついて、しんどい思いを一手に背負って、ほんとに辛そうだった友美恵さんとは別人のようです。

カウンセリングの実際

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