禁煙の心理学(3)



【禁煙の動機(1)】

そんな私がタバコを辞めようと思った理由は様々あるのですが、大きくは次の2つに集約されます。

(1)匂いがイヤだった。

(2)子どもへの影響。


私の会社員時代の先輩に、私と同等もしくはそれを凌ぐヘビースモーカーがいらしたのですが、彼は出張で東京へ行くとき、必ず禁煙車を指定していたんですね。
しかも、喫煙者の隣の禁煙車両を。

なぜかというと、「俺、タバコ吸うけど、その匂いが嫌いやねん。服に付くのもイヤやし、帰りなんて社内が真っ白やろ?あれあかんねん」という訳。

非常に利己的かつ、ご都合主義だと笑いながら会社の喫煙ルームで話していたんですが、何を隠そう、私もその考えには賛同していたんです。
ただし、煙を嫌がって禁煙車に乗る勇気はなく、喫煙者にて黙々と煙をくねらせるタイプだったのですが・・・。

サラリーマン時代から出張族で、多いときは月の半分以上を出張先の東京で過ごしていた事もありました。
で、当然安いビジネスホテルに宿を取るわけですが、ルームキーを開けて最初にタバコの匂いがしてくると、思わず「むっ」として、部屋を取り替えて欲しくなったりするんです。
で、間髪入れずフロントに電話をかけ、空気清浄機もしくは加湿器を持ってくるように依頼するのでした。

私も吸うのに。なんてわがまま。

で、連泊が多かったですから、スーツケースに詰めてきた荷物を解くわけですが、そのとき、持ってきた服からなんともいえない埃臭いにおいがするわけです。
自宅でも吸ってましたから、その煙がクローゼットの衣服に付着するわけですね。
で、普段はそんな空気の中にいるから服が埃臭いなんてあんまり意識しないのですが、そうじゃない環境に服を持ち出した途端、あの嫌な匂いが鼻を突いて来るわけです。

実はこの匂いが私はダメでして、スーツケースから衣服を取り出すたびに、なんだかショックを受け、なぜか暗い気持ちになったものです。

ま、その気持ちを癒すために、まずは一服とタバコに火をつける辺りが非常に矛盾しているわけですけど。

で、だんだんこの衣服の匂いというのが気になりだして、例えば、カウンセリングをしていても「お客さんが気にするんじゃないか?迷惑じゃないか?イヤじゃないんだろうか?」などと想像してしまうんですね。

なんだか、自分がとっても“毒”になってしまったような気がするのでした。

この匂いの感覚というのは、私にとって「タバコ=毒」を意識付けるきっかけになっていたのではないかと思うのです。

【禁煙の動機(2)】

さて、そんな衣服の匂いも出張時、あるいは旅行時に限りますから、日常生活の中では、むしろ「辞めなきゃいけないのに、辞められないなあ」と悩みながら、また一服、なんて生活を続けていました。

でも、2004年に子どもが生まれてから、ちょっと状況が変わります。

それまで歴代の彼女達の前でも平気で吸ってたのですが、なぜか、わが愛娘の前では吸えない。
未熟児で体が弱く、とかく皮膚がすぐに炎症を起こして小児科・皮膚科をハシゴするような頃もありましたから、タバコというのはかなりヤバイものだと思うようになりました。

当時は私の仕事部屋のみ喫煙可だったのですが、そこに子どもがハイハイして入ってくるだけで、「あ、あかん、あかん。あっち行ってな、あかんよ」と連れ出してしまうくらいだったんですね。

まあ、もう明らかにタバコは害毒だと認識していたんです。

中毒だから辞められないだけで。

でも、自分は毒を吸ってるんだ、ということをすごく意識し始めたわけです。
僕にとってはこれがものすごく大きかった。
自分はいいけれど、子どもの体や肺を汚してるのでは?という思いからは逃げられませんでした。
もちろん、そこでは妊娠中の奥さんや、育児中の奥さんに対する気持ちも一緒です。
でも、大人はまだ避けられますし、対策も考えられますよね。
子どもはそうじゃないんですよね。あるがままを受け入れてしまうんです。

だから、子どもを抱っこするときも遠慮が出てくるんです。匂いがうつらないか?変に吸い込んでしまわないか?などと。

食後、一服付けても、すぐに子どもは抱けません。
しばらくして、多少は匂いが取れてからじゃないと、近づけないんですね。

もちろん、大好きなほっぺチュだって遠慮気味です。
奥さんが「パパのチューは臭いでちゅね~」なんてイジワルをするものですから、尚更・・・。

だから、何とか子どものために、辞めたいな、というのが大きな動機になりました。

◆重要なテーマ◆

タバコを辞めたいと考えてる方へ。

どうして辞めたいのでしょうか?辞める必要があるのでしょうか?

あなたがタバコを辞めたい、理由。これをじっくり考えてみませんか?

そして、その理由に対する本気度はいかほどのものでしょうか?

例)子どものために辞めたいと思う。かなり本気のつもりなんだけど自信がない。

例)お金がかかるから辞めなきゃと考えている。でも、本数を減らせばいいのかな、とも思っている。

例)体に悪いから辞めようと思う。でも、自覚症状がないし、タバコを吸ってても元気なオッサンも多いから、本当に体に悪いのかは半信半疑。

※バックナンバー※
禁煙の心理学(1)
禁煙の心理学(2)


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