禁煙の心理学(2)



さて、前回は私のタバコ・プロフィールに加え、「私にとってタバコとは?」を考えてみました。

実はこれってすごく大事なことで、タバコに限らず、仕事でも恋愛でも、「当たり前になってしまうものほどややこしい」ものなんですね。

いわば、習慣というもので、チェーンスモーカーというのも、気が付けばタバコに火をつけてる、無意識のうちにタバコのパッケージを服のポケットに探してる、なんてことがよく起こっているわけです。


禁煙が失敗したときに「気が付いたら吸っていた・・・」というきっかけを良く耳にするんですけど、こうして習慣化されてしまったものは、潜在意識・無意識に行動が入ってしまっている(車の運転に慣れるとアクセルやブレーキを無意識に操作している、など)ので、これを一旦意識上に出してあげる必要があるんですね。

つまり、「タバコを吸っている」という事実を認知していくわけです。

タバコを吸うときに変なことですけれど「俺、今、吸ってるな」と指差し確認宜しく意識してみてください。

それが意識上に出してあげることで、いわば「気付き」の原点になります。

そのとき「どうして俺ってタバコを吸うんだろう?」って考えてみるんですね。
これが意識上に出したものを再検討する段階です。

そのときのテーマが前回紹介した「自分にとってタバコってなんだろう?」というものなのです。

これは習慣性のあるものを見つめなおし、改善していく(癖を直す、も含め)際に良く用いられるアプローチで、これだけでタバコの本数を効果的に減らすことが可能だったりします。(始めのうちだけですけど)

さて、そこで、「自分にとってタバコは何ぞや?」を考えつつ、次の大きなテーマに進みたいと思います。

それは「なぜ、タバコを辞めたいんだろう?」という点です。

感情的、心理的に見ると「タバコを辞めたい理由」vs「タバコを辞めたくない理由」で、前者が勝れば辞められます。

辞めたいけれど辞められない場合には、自分では理由は分からないけれど後者が勝ち続けてる、と言ってもいいんですね。

僕がタバコを辞める一ヶ月前にあった「タバコを辞めた自分がイメージできない」という状態は、まさしく「辞めたくない理由」が勝ってる状態を示唆しているのです。

しかも、この対決は意識レベルの問題ではなく、無意識レベルでの問題ですので、頭では「辞めたい」と思っていても、潜在意識・無意識では「辞めたくない」あるいは「辞める必要はない」と考えていることも多いんですね。

だから、なかなかこの心を探るプロセスは、とても難しく感じるはずです。
「あれ、おかしいな?」ということに良く出会います。
だから、焦らず、じっくりやることが大事だと思います。

そういう意味では、もっと強い表現に改めた方が良いかもしれません。

すなわち「なぜ、自分はタバコを辞める必要があるんだろう?」

あるいは「なぜ、自分はタバコを辞めるのだろう?」

この問いの方が切実に胸に迫ってきますね。

「辞めたい」というレベルでは色々答えが浮かんだとしても「辞める必要があるのか?」と迫られると言葉に窮してしまうことも少なくないかもしれません。

でも、これに打ち克つだけの理由が、やはり必要ではないでしょうか?

しかも、それには相当の意欲が必要です。
「体に悪いから辞めよう」と思っても、「でも、まあ、自覚症状もないんだけど」と思ってしまうと、かなり意欲は弱められてしまいますね。

タバコを辞めるというのも、自分を変えるプロセスで、それはダイエットも悪癖を直すことにも共通するんですけど、自分を変えることってしんどいんです。
だから、できれば変わりたくない、変えたくない、という自分は心の中に厳然と存在するんです。

僕の場合も、禁煙には相当抵抗がありました。無理だとも思ってました。
でも、実はその前にあるチャレンジをしていたんです。

それは「ダイエット」。

今では見る影もない、と言われますけれど、禁煙する1年半ほど前からダイエットを始めまして、禁煙を始めるまでに、10kg超の減量に成功しているんですね。

それまで禁煙もダイエットもうまく行ってなかったのですが、一念発起し、減量を始めたんです。
なかなかうまく行かなかったけれど、色々試した結果、成功したんですね。
だから、その上での禁煙チャレンジでしたから、多少自信があったんです。

因みにダイエットを決意した理由は体の不調から。
お酒や不規則な食事、運動不足とお決まりの不摂生から体がだいぶ弱っておりまして、健康診断などでかなり悪い数値が出てしまったんですね。
自覚症状もあるくらいでしたから相当だったんですけれど、それで何とかせねば・・・と思い、ダイエットを決意したわけです。

そういう意味では禁煙の成功の影には、ダイエットの成功というステップが隠れてました。
だから、いきなり禁煙にチャレンジするのがハードル高そうだと感じられる方は、自分に自信がもてる何かを見つけ出す(仕事でも、プライベートでも)ことが役立つかもしれません。

とはいえ、ダイエットに成功したからといって禁煙に成功するとも限らないですし、禁煙に成功したといって、体重が維持できるとは・・・保証できません。

(私は禁煙のストレスもあったでしょうが、味覚が良くなり、さらには胃腸がめっちゃ強くなり、禁煙後は10kg減らしたものを2年で戻してしまいました(^^))

さて、そんな私の禁煙の動機は大きく二つありました。

それは、

(1)タバコの匂いがイヤだった。

(2)子どもへの影響。

この二つについてはまた次回、詳しくお伝えしたいと思います。

※バックナンバー※
禁煙の心理学(1)


あわせて読みたい