娘を素直に愛せない母親に育てられたらどう心を癒せばいいのでしょう?(2/2)



許し(癒し)が進むと、自分の感情から一歩離れて相手のことが見えてくるようになります。お母さんの気持ちを受け取れたり、感謝や愛に目を向けることができたり。
そうすると気が付けば人間関係がずいぶんと改善してることに気が付くでしょう。

昨日に引き続いてのお話しです。

よくセミナーではこんな話をさせてもらいます。

「実はね、たまにですけど、そんなお母さんがカウンセリングに来られることがあるんです。もちろん、娘のススメで、ですけれど。そうするとね、かなりの確率でこんな話をしてくれるんです。『私は悪い母親です。娘にはほんとうに申し訳ないことをしました。』と。ほんとうは分かっているんですよね、自分がしていること。嫌味を言ったり、悪口を言ったりしてる自分を恥じ、罰し、情けなく思っているんです。でも、嫉妬したり、競争したりしているのも事実ですから、いまさらそんな態度を変えられません。
そんなお母さんに『じゃあ、あなたにとって娘さんはとてもいい子だったんですね』とお聞きすると、何も言わずに黙って頷かれるんです。
私が『その気持ち、ぜひ、娘さんに直接伝えてもらえませんか?』て言うと、『いえいえ、いまさら私が伝えたところで、信じてはもらえないですよ。それだけひどいことをしてきたのですから』とおっしゃいます。
どうしても無理ですか?と押すと、『じゃあ、根本さんから伝えてもらえませんか?あの母親にも少しは人の心があった、と』などと答えられるんです。
恥ずかしい、とか、罪悪感とか、色々あって伝えられないんです。むしろ、あのお母さんの悪態は、罪悪感がもたらしたものと言ってもいいんです。
『どうせ私のことなんて嫌いなんでしょ?酷い親だと思ってるんでしょ?』という態度じゃないですか?分かってるんですよ、本当は。自分のしてること。そして、そんな自分が許せないんですよ。
娘がこれほど自分を愛してくれているのに受け取れないことも嫌なんですよ。」

どこかに誤解、すれ違いがあります。
人だから当然のことですが、それが母と子だと、期待も大きく、愛も大きいだけに、複雑化しやすいのです。

もしかしたらRさんのお母さんも娘には見せないところで、そんな思いを持っているのかもしれません。
でも、「まさか。そんなはずはない」と思われるでしょ?

実際、そんなお母さんの話を娘さんに伝えると、どの娘さんも「そんなことあの母親が言ったんですか?信じられない!!」っておっしゃいます。

「『あんたが勧めるからカウンセリングに行ったのに、何一つ変わりやしない』って言うから、また大ゲンカしたんですよ!!」っておっしゃってた人もいました。
(ケンカしてくれるほど、僕のことが好きなのね!って喜んだら「それは違います!」とその娘は言うわけですけど・・・笑)

ま、お互い素直になれないんですよね・・・。
(じゃあ、根本さんの前でお母さんが素直だったのか?というのはまた別の議論が必要なんでしょうけれど)

さて、感情が解放されてきたり、見方が少し変わってきたりすると、いよいよ、こんな質問もできるようになるんです。

「そんなお母さんの愛し方ってどんな方法だと思いますか?」

敢えて、そんな質問を投げかけることもあるんです。

しばらく考えてください。
あの人の中にどんな愛があるのかを。
もちろん、そのためには自分の中に愛を見付けなきゃ難しいですよ。
自分の愛を否定していたら、相手の愛も否定します。
昨日のブログにあったように、まずは自らの中の愛に気付くことからです。
でも、そうすると相手の愛も見えて来るものです。
さらには、こんな宿題を出します。
『母に感謝したいこと、100個、探してください。』

これで人生を変えた人、何人もいるんです。
そんな宿題を出すわけですから、どんなお母さんなのか想像できるでしょう?
瞬時に「無理無理無理無理~!!」と言いたくなるお母さん限定です。

2,3か月かけるつもりで100個探します。
不思議と気持ちが変わって行きます。
そして、許しが生まれ、お母さんへの思いが変わります。
嫌味を言われても動じなくなります。
悪態をつかれても振り回されなくなります。

お母さんは何も変わらないでしょう。
でも、そのお母さんから受ける影響が変わるのです。

「私、ずいぶん、大人になったな、と思うんですよね。最近、お母さんが可愛く見えるんです。今までは可哀想な人だと思ってたので大違いです。」

そんな風に変わっていくことができるのです。

Rさんにとっては途方もない夢物語に見えたでしょうか?
人によってはここまで来るのに早くて数か月、長ければ何年もかかることがあります。
けれど、その時間も決して無駄ではなく、お母さんは愛してくれなかったけど、○○さんはすごく愛してくれていた、とか、自分なりに一生懸命やっていたな、とか、お母さんも不器用な人だな、かわいそうな人だな、とか、色々な気付きや発見を繰り返していくのです。
頭で分かっていても心が付いて行かなくてヤキモキすることもあれば、偉そうなことを言ってるカウンセラーを恨んだり、嫌ったりする時期もあるかもしれません。

しかし、それでも諦めずに続けていくと、きっと自分の周りの人間関係が変わっていくことに気付くでしょう。
むしろ、そっちが先に変化します。

お母さんは人間関係、コミュニケーションの基本となる存在。
だから、お母さんとの関係を見つめていくことは人間関係の改善に大いに役立つのです。

今日は膨大な風呂敷を広げてしまいました。
少し戸惑われたかもしれません。

ですから、マイペースに、今できることから始めていきましょう。

参考になりましたら幸いです。


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