過去の嫌がらせが現在に与える影響と、嫌がらせの背景にある嫉妬心について。



嫌がらせは過去のことであっても、そこで生まれたパターンは今に生き続けます。
そして、その背景には嫉妬心が大きく寄与していることが少なくありません。

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こんにちは。いつも根本さんのメルマガや本に支えてられています。

時折湧き上がる女性への怒り、苦手意識についてお伺いしたく、送らせて頂きます。

私は小学校~実家を出る20歳過ぎまで、近所に住むオバサンに家族ぐるみで嫌がらせを受けていました。きっかけは分かりません。

祖母はオバサンの息子に水をかけられたり、母はすれ違う度「ババア」と悪口を言われ、家に乗り込みあっての言い合いもしてたり。
私はお店で遭遇すると「万引きしちゃダメよ」と大声で言われ、夏に浴衣を着て遭遇すると「うわー!似合わねー、ブサイク」と言われました。

相手にしないようすれ違っても無視をすると、どこまでも追いかけられ、腕を思い切り掴まれ「挨拶は?」と言われました。警察は相手にしてくれませんでした。

オバサンは30代なのに完全に白髪で、不自然にでっぷり太っており、顔は直視すると吐き気がするような、不幸を体現したお化けに見えてました。

私の母はどこに行っても「美人ー!若いー!」と言われるタイプでした。
私は私で、ブサイクと言われたのは人生でそのオバサンにだけで。外見に関しては、周りから「かわいい」「キラキラしてる」と言われてきました(ありがたいです)。

オバサンに限らず、女性からの嫌がらせ的なことはずっとあります。高校時代、グループで私にだけ彼氏ができた途端、彼が人気者だったからか、女友達の陰口や無視が始まりました。大学でも、どの職場でも女性に辛くあたられることが必ずありました。

今でも、駅で目が合った女性に舌打ちされたり、人混みで体が当たった女性が、わざわざ戻ってきて私を突き飛ばすなど、女性が本当に苦手です(私も女性ですが‥)

私の「女性が憎い、怖い」の攻撃性が伝わって、そうさせているのでしょうか。女性が近くにいると常に身構えてしまいます。

ふとした時、オバサン含む女性達のことを思い出してしまい、憎しみで暴れたくなります。過去は過去だと絶つにはどうしたらいいのでしょうか。

よければいつか取り上げていただけると嬉しいです。
長文を読んで下さりありがとうございました。
(Nさん)
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「今、ある問題は過去のトラウマを映し出している」
心理学という尺度で見た問題の捉え方がコレです。

Nさんの場合、そのオバサン一家から受けたいやがらせが過去のことではなく、今現在も生き続けていることを教えてくれていますね。

だから、過去は過去だと絶ちたい気持ちが生まれてくるのですね。

そして、そこで傷ついた思い(トラウマ)があると、そのオバサンが各地で投影され、オバサン=女性ですから、女性たちから嫌がらせを受けることになります。

さて、この部分をより掘り下げてみると次のようなことが言えるのです。

1つ目はNさんもお気づきの『私の「女性が憎い、怖い」の攻撃性が伝わって、そうさせているのでしょうか。』という部分。

Nさん、だいぶ勉強されてますね!素晴らしいです。

感情と言うのは共鳴していくので、もしNさんが攻撃性を持っているとそれが相手に敏感に伝わります。
そもそも女性というは我々男性からすると遥かに高度な通信機能を持っているのでそうした感情の機微に大変敏感です。

例えばNさんと初対面の人と会ったときに目の前の人が明らかに攻撃的な目をしてきたら、Nさんはその人に「会えてうれしいわ~」とぎゅーっとハグできますか??
それとも、「え?何その目?マジ怖い」って警戒しますか?

ほとんどの賢明な読者は後者だと思うんですね。
人は攻撃に対しては「防御」「攻撃」のどちらか、もしくは両方の態度を取りますから、当然、その人との関係性は悪くなります。

これが「攻撃的な目」ならば分かりやすいのですが、たいていは潜在意識に刻まれた「攻撃性(憎しみ、怒り)」がその人の醸し出す雰囲気として相手に伝わります。

そう、伝わっちゃうんです。隠しているつもりでも。

そうするとNさんの周りに起こっていることが理解しやすいと思います。

これをさらに掘り下げると次のような見方ができます。

2つ目はNさんの持つ本当の心理パターンの投影です。
オバサン一家におばあちゃんやらお母さんやらご自身が嫌がらせを受けていますので、Nさんの心理には
『私(たち)は女性から攻撃される』
という思いが出来上がります。

オバサンがNさんたちに嫌がらせをしていたのは「過去」のことですけれど、その『私は女性から攻撃される』という思いは「今」あるものです。
だから、「今」も似たようなことが繰り返されるんです。

これが「パターン」と呼ばれるものです。

その出来事自体は終わっているけれど、そこで生まれた心理パターンが今も生き続けている、ということなのです。

だから、変えるべきはこの『私は女性たちから攻撃される』というパターンの方です。

セラピーではその目的で過去のことを話して頂いたり、オバサンに対する怒りを発散させたり、やがてはそのオバサンを許したり、というアプローチを取って行きます。
それは過去を変える、のではなく、そこから生まれたパターンを変えることが目的なのです。

じゃあ、どうしたらいいのか?って話ですけれど、Nさんはご自身の中にある怒りや憎しみに気付いていますから、より実践的なやり方に入りやすいと思います。

なぜ、オバサン一家はNさんの家族に嫌がらせをしなければならなかったのでしょう?

これはとても分かりやすい心理が働いていますね。

そう、『嫉妬』です。

まあ、これに尽きる、と言ってもいいでしょう。

それだけを見れば、Nさんが周りの女性に今も嫌がらせを受けるのはその嫉妬のせいと言ってもいいくらいです。
もちろん、おそらくNさんはそのことにも気付いていらっしゃると思います。

日本人は「嫉妬の民族」と言われるくらい嫉妬心が強いんです。
嫉妬心が強いということは本当はとても情熱的な国民性なんです。
ただ、「恥の民族」という部分があるし、様々な要因が絡んでそれが表に出にくいんですけどね。

略して言えば、Nさんも周りのみんなもみんなラテン系だということですね。はい。

オバサンの外見とNさん一家のギャップについては分かりやすいくらい分かりやすく、ぜひ、写真付きで心理学の教科書に登場願いたいほどだと思います。

「嫉妬」というのは「羨ましい、いいなあ、あの人。私にはないものを持ってていいなあ。すっげー、羨ましい!ちくしょー、なんであの人にはあって私にはないのよー!!くそーくそー、めっちゃ悔しい!!」という感情です。(敢えて明るく書いてみました)

そのことからオバサンには次のようなことが言えると思います。
1.オバサンはNさん一家のことをとても羨ましいと思っていた。すなわち、憧れであった。
2.オバサンは自分のことを最強に嫌っており、外見・内面問わずものすごい自己嫌悪を持っている。
3.オバサンは見た目は全然違うけれど外見的な美しさ、あるいは、内面の美しさを持っている可能性が高い。

1については説明不要だと思います。その通りですものね。
2についても分かりやすいかと思います。だってあの外見だもん、あの性格だもん、と。
Nさん一家に向けられた彼女の嫌がらせはひとえに強烈な自己嫌悪が外側に向いた、ということが言えます。

近親憎悪という言葉があります。遠くの人よりも身近な人の方に怒りを感じやすいんです。
例えば、婚活を頑張ってる30代自立系情熱女子たちは隣のビルのオフィスで働いているOLが結婚したって聞いても「ふーん」としか思わないけれど、同じフロアの隣の島で働いている同僚が結婚したって聞いたら「なにぃ!あたしに内緒でそんな暴挙が許されるのか!!」と槍を持って戦いに行くでしょう?

オバサンも自分自身に嫌悪感がある分、身近にいたNさん一家がそのターゲットになりやすいんです。
逆に言えば相手は誰でもよく、一番攻撃しやすい人を攻撃した、というのがその真相だと思います。

だから、この観点から見ると「トバッチリだねえ~」なんて私は言ってしまうものです。

3については少し説明が必要かもしれません。
私たちは自分に関係ないもの、もっと言えば自分が持っていないものには実は嫉妬しないんです。
自分にあるにも関わらずそれを活かせていない、あるいは、なくしてしまった(と思っている)ところでこの嫉妬が生まれます。

例えば、僕が「いやあ、この間のTOEICでついに900点越えを果たしましたよ~!!」て言ったら皆さんどう思います?(実際は受験すらしていません)

「へえ、すごーい!根本さん、英語しゃべれるんだ!!」ってほとんどの人は感心すると思うんです。(実際は日本語と関西弁のバイリンガルです)

でも、そこで嫉妬心を覚えるとしたらどうしてなんでしょう??
「私も本当はそれくらい取れる実力あるのに!!!」と内心思っている方じゃないでしょうか。

実際、同じタイミングで試験を受けて890点だった人はものすごく嫉妬しやすいと思います。
ただ、890点の人が全員嫉妬するか?というと、もちろんそこには本人の価値観が影響することは言うまでもありません。
「自分は900点越えの実力があるのにも関わらず、今回はそれを発揮できず、ものすごく悔しい」時ではないでしょうか。

ということから、オバサンがなぜ、Nさん一家に嫉妬するか?というと、彼女の中にも何かしらの美しさがある、ということなのです。
例えばそのオバサンも若い時はめっちゃ美人で可愛かったのにその後の凋落の人生で外見がガラッと変わってしまった、とか、内面的なやさしさやキラキラや美しさを持っているのに外見が邪魔してそれが発揮できないうちにひねくれてしまった、とかね。

そんな風に嫉妬というのは少なくともNさんの価値や魅力を見てくれた上で起こるもの。
だから、嫉妬されたとしたら、その対応は「ありがとうございます」なんです。
決して「いやいや、私、そんなきれいじゃないです」と答えてはいけないのです。

さて、Nさんは「かわいい」「キラキラしてる」という自分の魅力をどれくらい受け入れられているでしょうか?
また、その他さまざまな魅力について、どれくらい自信を持てているでしょうか?

嫉妬されやすい方にはこんな格言を贈ることにしてるんです。

『出る杭も、出きってしまえば打たれまい』

かわいい、きれいな人がそれを隠すと嫉妬されやすくなります。
でも、それを受け入れ、承認し、自信に変えると嫉妬していた人もファンになります。
立って元々憧れの人だったんですもの。

さて、そういうわけでオバサン撃退術を最後にお話ししましょう。
そのオバサンは今もまだNさんの心の中に生き続けているわけですから。

1、怒りをちゃんと出す。

被害者にならない、ということはとても大切なこと。
ちゃんと自分の中で怒りを認め、それを表現し、そして、この関係性でも自立していきます。

許しのワークショップではまずは「恨み辛み憎しみの手紙」を和紙に筆ペンで書くところからスタートします。
恨み辛み憎しみをまず処なくひたすら放送禁止用語を連発して書き連ねるのです。

そのワークショップに来てくださった方が後日、品川プリンスに缶詰めになってひたすら恨み辛みの手紙を書いたそうです。ワークショップの20分間ではまだ怒りを出し切れてないと感じたからだそうです。
数時間書き続けたら心理的にはもちろん、人間関係的にも大きな変化がやってきたそうです。(現在、その報告書を待っているところです。)

そうして、しっかり怒りを認めてあげるとこの関係性で自立することができます。

2.そのオバサンの価値って何だろう?

さて、そのオバサン。まったく価値がなかったのでしょうか。
1のプロセスを経て自立すると、この視点を手に入れられます。

もちろん、困難な道であることは間違いありませんが。

そこにフォーカスするレッスンはNさんの今の人間関係においてももちろん生きてきます。
それはNさんに嫉妬する人たちの価値を見てあげることができる、ということです。
もちろん、これは与える姿勢になります。
すなわち、愛です。

もちろん、ここではオバサンの価値を見るためには先に書いた「Nさん自身の魅力をちゃんと受け取っておく」ということが大事です。
自分の魅力を受け入れ、認められないと、他の人の魅力を見つけてあげることは難しくなります。

おそらくこの2つのプロセスを経ると、女性に対する嫌悪感はだいぶマシになり、苦手意識も弱まっていくと思います。

「私っていい女なんだよな~。かわいいし、キラキラしてるしな~。
だから嫉妬されちゃうんだけど、みんなもそれぞれいいところあるのにな~。」

そんな感じで捉えてみるといいと思います。

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