物欲にまみれた私が与えられる人になるにはどうしたらいいのでしょう?



物欲が強くなるにも心理的な背景・理由がちゃんとあります。
「もの」を「愛」に置き換えると見えて来るものがあるかもしれません。
自分がちゃんと愛されたことを受け取れるようになると、その物欲も収まって行くと思います。

***
こんにちは。いつもブログを楽しみにしています。
物欲についてお聞きしたいと思います。
私は時々自分が物欲にまみれていて汚れているという感覚に襲われます。
「全部私のもの」「誰にも分けてあげない」「一つも分けてあげない」「みんなみんな私のもの」と、人と分かち合う精神が欠けているのです。
部屋には物 が多く、それによって幸せが感じられればまだ良いのですが、全部囲い混んでいる自分の強欲さ?みたいなものを感じて、心の貧しさ汚さを感じて嫌になります。
小さい頃からこの感覚はあり、母にも「強欲な子」と言われたりしていました。
姉妹がいますが、いつも自分の欲のことだけ考えていたように思います。
母の財布や妹の貯金箱からお金をくすねて、自分の欲しいマンガなどを買ったこともあります。
おいしいものは独り占めしたい、人からの評価も独り占めしたい、でもそんな欲を感じることが後ろめたくて、自分の心の貧しさにクラクラします。

そのため表面上は欲を出すことなく、色々な場面で人より何歩も後ろにいます。
汚い自分を出したくないので何も欲しくないふり、興味のないふりをします。

こんな自分を変えて、人に分け与えられる人になるにはどうしたらよいでしょうか?

強欲な自分を認めてあげるみたいなことでしょうか?
具体的にどうしたらよいのでしょうか?
物に囲まれて分けられない自分が惨めでしかたありません。。
(Fさん)
***

Fさん、こういう話を素直に話せる、ということはとても素敵なことです。
ネガティブな自分を人に話すというのは、それ相応の勇気が要ったと思います。
ほんとうに自分を責めていたら、それを周りに投影して「こんな話をしたらみんなに責められる、嫌われてしまう」と感じるものですから話せないんですよね。

さて、「物欲」って何なのでしょう?
色々なものを「所有したい欲」もあれば、「支配欲」「征服欲」のようなものもあるでしょう。

例えば、コレクターと言われる人たちは集めているものを全部自分のものにしたい!と思ったり、珍しいものを手に入れたい!という思いが非常に強いですよね。
そのものに対するこだわりが非常に強く、他人から見れば「なんであんなものを?」と思うものを必死に集めてる方もいます。
これは自分の力を証明する欲求で男性がよくハマります。
「これを持ってる俺ってすごいだろ?」とか「俺はこれを手に入れられるだぜ!」などの賞賛を求めるのもその一つの目標です。

買い物依存症という方をカウンセリングすることもあります。
借金までして買い物をするんだけど、買うことが目的で、使用することは二の次。
だから、お店で袋に入れてくれたまんまの状態でクローゼットに眠っています。
これは女性によく見られるのですが、心理的にはアルコール依存症やギャンブル依存症と似たところがあります。
すなわち、「買い物をしてお金を使う」ということが、アルコールやギャンブルと同じ「刺激物」になり、抜け道のないストレスを発散する唯一の方法として「お金を使って物を手に入れる方法」を選ぶのです。
お金を使うことが目的ですから、そこで得た商品には興味がないわけですね。

さて、Fさんの場合、「全部私のもの」「誰にも分けてあげない」「一つも分けてあげない」「みんなみんな私のもの」という感覚が強いとのこと。

Fさんにとって「もの」というのは「愛」の代名詞になっているんじゃないでしょうか。

幼少期から「愛が足りない」という感覚を強く感じていたのかもしれません。
姉妹がいらっしゃるとのこと。
もしかしたら、親の愛情が姉妹に行ってしまったように感じていたのかもしれません。

これは下に妹や弟がいらっしゃる方は必ず体験していると言ってもいいと思います。

例えば、第一子は生まれてからずっと親の愛情を100%受けます。
ところが、第二子が生まれると、その子の方が手がかかるから親の目(特に母親の目)はそっちに行ってしまいます。
親としては平等に愛しているつもりでも、第一子からすると100%自分に注目してくれていたのが50%どころか10%、20%に減ってしまったように感じます。
さらに第三子が生まれると、第一子はもちろん、第二子も「なんだか、サービスが悪くなったの~」と思うくらい、親の愛が自分から第三子に行ってしまったと感じます。

そうすると100%愛情を受けていた頃から見ると「私は愛されてない!」と強く感じて「愛される努力」をし始めます。
いい子になって弟や妹の面倒を見る子になる場合もあるし、親に迷惑をかけないようにいい子になるケースもあります。
また、その愛を補てんするために「ぬいぐるみ」などの「親の愛の代わりになるもの」を手に入れようとします。

子どもの頃からぬいぐるみのうさこちゃんとずっと一緒に寝てた、という方。実は、あのうさこちゃんはママの代わりだったようです。

また、親の目が下の子に向いてしまったとき、「愛を奪われた」と感じることもあります。
「奪われた」なら「奪い返さなければ」といい子になるんですが、それが「もの」に出れば、何でも自分のものにしたい、という欲求になります。

つまり「奪われた」という思いが強ければ強いほど所有欲が強くなり、何でも自分のものにしたい欲求が強くなるんです。

これがFさんの感じている「物欲」ではないかな、と思うんです。

Fさんの兄弟構成は詳しく分かりませんが、姉妹との関係で、あるいは、お母さんの性格等により、幼少期、とても愛が足りないと感じていたのかもしれないし、奪われたと感じてたのかもしれません。

それがものを持つことで安心し、もう二度と誰にも奪われたくない、という気持ちに繋がっているのではないでしょうか。

とすれば、

>強欲な自分を認めてあげるみたいなことでしょうか?

はとても大切な一歩目になりますね。だって、そうなってしまうにもちゃんと理由があったんですし、そうならざるを得ない背景があったわけです。
だから、それは責められるものではなく、愛されるべきもの、許されるべきものなんですよね。

その上で、ここは「お母さん(お父さん)からの愛を受け取る」というプロセスを大事にしてみましょう。
もしかしたらすでにチャレンジされてるかもしれませんが、その場合は、引き続き、ちゃんと自分が愛されてたことを受け取っていきましょう。

Fさんのお母さんはどんな風に人を愛する人、子どもを愛する人でしょうか?
Fさんがお母さんから十分愛されたと感じるために、お母さんの愛を受け取って行きましょう。

お母さんの愛を少し思い出せたり、感じられたりしたら、自分自身にこんな言葉をかけてあげましょう。(できればお腹に手を当てながら)
「あなたはお母さんにとってとても大切な存在。なくてはならない存在。あなたはお母さんにたくさん愛されたし、十分愛されましたよ。だからもう安心して大丈夫ですよ。今までよく頑張りました。ほんとうに偉かったね」

さて、最後に、

>こんな自分を変えて、人に分け与えられる人になるにはどうしたらよいでしょうか?

ということなのですが、この疑問を感じるということは、おそらくもうできてます。
ただ、それ以上に「物欲が強い」という思いが強いために、与えている自分を評価できないんだろうと思います。

お母さんの愛を受け取れてくると、「なんだ今の自分でも自分なりにちゃんと与えてるじゃないか」って気付けると思いますよ。

だから、今のまま「人に与えてあげたいなあ」と思い続けてください。

※なんか、今日は、とても、ちゃんと、解説をした、ような気がします(笑)

毎日使える心理学講座
○セミナー・スケジュール
○カウンセリング・スケジュール
☆根本本。
根本の著作


あわせて読みたい