東京出張での、朝の美しい散歩道。



駒場公園5月になれば、緑が青々として、光が強く、そして、薫風と言われる気持ちいい風が吹き抜ける素晴らしい季節である。
私としても1年で一番好きな時期ではないかと、毎年思い、自然と5月になれば心がわくわくしてしまうものである。
(なお、同様の感想を持つ月が少なくても年に4回はあり、若干節操の無さを感じさせる)

さて、運動不足の解消を目的に始めた朝の散歩も、1ヶ月坊主に終わるかと思いきや、徐々に季節を感じる毎日の習慣になりつつあって我ながら驚いている。

その習慣は出張中とて変わらない、というよりも、いつもと風景が変わる分、楽しみもいや増し、雨が降っていなければとりあえずは外へ出て、季節を楽しむと同時に、新しい道を開拓し、その場所を体感するようにしている。
(そのおかげで宿泊先周辺の地理が異様に詳しくなるのである)


東京のカウンセリングルームは目黒区駒場と渋谷区上原の境目にあたり、すぐ近くには東京大学・駒場キャンパスの広大な敷地が広がりつつ、目の前にはデザインも豊かな美しい高級住宅街が広がっているという、散歩には事欠かない場所に存在している。

この日記でも時折告白しているが、30分も歩けば「渋谷駅」「代々木公園~明治神宮」「下北沢」などにたどり着ける、何とも素敵な場所なのである。

さて、そこまで足を伸ばさずとも、徒歩わずか数分のところに「駒場公園」がある。
そこには加賀百万石の前田侯爵邸があり、モダンな建築と共に緑性豊かな自然が満喫できる公園である。

この邸宅の前には草が短く刈りこまれた広場があり、周囲の森の中から眺めればまさに光の吹き溜まりに見えて、息を呑むほどに美しい。(1枚目の写真)

昼になれば、近くに住むママ&子どもたちが散歩に来たり、お弁当を広げたりする平和な景色が眺められるが、この写真を撮ったのはまだ開園間もない朝9時ごろのもので、この広い庭園を独り占めさせてもらった。

新緑から漏れる光がとても美しく、携帯のカメラでなく、きちんとした一眼レフならば、どれだけ素晴らしいだろう・・・とため息をつく。
しかし、素晴らしい写真を撮っても、それを心に刻まなければ美しくは感じないわけで、深呼吸をしながら数分か足を止めて、この生の景色に見入ってみた。

東大教養部さて、その駒場公園の南出口を出て左に折れると、すぐに東大教養部の西門に出会う。
西門といっても車止めがあるだけの「ほんとうに入れるのかな?」と思わせる狭い入り口であるが、それを抜けて中に入るとテニスコートの横に出てくる。
大学内もまた自然の森の形態を多く残す素敵な散歩道で、ちょっと東大生になりすます気分もまた格別である。

大学には30才を越えた研究生も数多く所属しているので、ふつうにしていれば、私だって学生もしくはポスドク、教員などに見えたりするものである。
とはいえ、構内にはふつうに散歩したり、ジョギングをしている近所のオヤジたちも普通にいるから、仮に学生に見えずとも、周りはいぶかしんだりはしない。

さて、大学というのは法令である程度の緑地を作ることが義務付けられているようで、どの大学も散歩するにはいい場所なのである。
また、東大のように歴史ある大学には、これまた歴史ある講堂が現存していたりして、そういう建築物を眺めて昔に思いを馳せるのも楽しい散歩タイムを演出してくれる。

そんな勢いでこの写真にある並木道を抜けつつ井の頭線の踏み切りに出れば、心なしかじんわりと汗をかいている。
もうそんな季節になったのか、と薄日差す空を眺めながら思ったものである。


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