アタッシュケース

神楽坂でのセミナーの、ほんの短い昼休みに所用を終えて会場に戻るとき、ふと「あれ?こんなところにあったっけ?」という、アンティークショップというにはあまりにも土俗的な雰囲気の店を見つけた。しかし、中に入ってみると土俗的と言うにはあまりに失礼極まりない高価なものが並んでいて、ちょっといい品の中古品を扱うお店であった。
その手のお店を何て呼ぶのか思いつかず、のちにスタッフにツッコまれた際も適当にごまかすしかできなかった。

その店は明らかにお金持ちの家にあったであろう椅子類や雑貨類が並び、服も数多くハンガーに掛けられている。テレビや電話機などの家電もあり、要するになんでもありのリサイクルショップなのであった。とはいえ、紳士用はあまりないようで思いのほか若い店のお姉さんも私には文具やカバン類などを勧めてきた。

その中にバリーのアタッシュケースがあった。
そこそこ大振りでいい味を出している品であり、お姉さんも「すごくいいものですから」と何度も繰り返す。実は私としても大人の男性としてアタッシュケースは憧れの逸品であった。
「私、こう見えてリュック派なんですよ。両手が空いてないと落ち着かないタイプで」と苦笑いするとお姉さんは「え?意外ですね。アタッシュケースがお好きそうに見えますのに。とてもよくお似合いですよ」とセールストークかホンネか分からない言葉を投げかけてくる。そういう時はホンネとして有り難く頂戴しておくのがマナーと言える。

さて、よく考えてみれば私は所かまわずキャリーバックを引いている男である。出張族だから旅に出るときは当然なのだが、セミナーの際も受付道具やら本やらテキストやらを放り込んでゴロゴロと引いている。旅先で「旅行者」と見間違えられるのは合点がいくのだが、時に大阪のセミナー帰りに「どちらからいらしたんですか?」などとお店の人に言われる次第である。「吹田からです」「え?あ、大阪の方でしたか?」「ええ、意外に」なんてやり取りをするのは恒例行事である。

また、荷物が少なくて済む時は仕事道具をボストンバッグに入れて歩いている。そこにはお会計関係の道具、ケーブル類の他、各種文房具が入っている。これだけあればすぐにでもセミナーが開ける布陣である。
そこにパソコンや手帳、お財布などが入ったリュックを背負っているのであり、「ふつうにカウンセリングをしに来た割に荷物多くないか?」と思われても仕方がない。事実、ほとんどの荷物は使わない。
しかし、毎回必要なものだけどカバンに詰めて出かける最大公約数的な整理整頓ができないたちである。常にバタバタしているから忘れ物がいっぱいになる。だから、必要なものをとりあえず全部入れておく、最小公倍数なタイプなのである。

すでに片手に「キャリーバッグ」もしくは「ボストンバッグ」を持ち歩いている以上、そこにアタッシュケースの入る隙間は残念ながらなさそうである。
アタッシュケースを片手に、他方にキャリバッグを引くのは普段は良いが、階段や段差などでは苦労しそうだ。そもそもそこに電話がかかってきたらパニックになってしまうかもしれない。しかも、右手がアタッシュケース、左手がキャリーバッグというのは段差で躓いた際には悲劇を生む。そもそもセキュリティ上も好ましくない。

要するに荷物が多いのであるが、かくなる理由により、憧れのアタッシュケースは泣く泣く店に置いてきた。離れてしばらくして「うーん、惜しかったかも・・・」と思い返しては、いやいやキャリーケースがボストンバッグがと現実に自分を引き戻している。
もし来月その店を訪れたとき、もし、まだそこにあったのならば、ご縁だと思ってお買い上げしまう可能性も高い。お姉さんの思うつぼである。さて、どうなるか、来月の出張を楽しみにしておこう。
とはいえ、そんな記事を世界に公開しながら当日になればすっかり忘れてお客様から「アタッシュケースありました?」って聞かれて「あーっ!!!!」となるのが私である。
もし、セミナーの受付時、見慣れぬ黒いケースを見た際は「おっ!縁があったのね」と思っていただきたい。

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